民泊規制強化で、
京町家は売りに出る?
宿泊施設として使われてきた京都の古い住宅が、再び「住むための家」として市場に戻る可能性があります。2026年11月の規制案、旧耐震、京町家向け住宅ローンを、購入者の目線で整理します。
結論:宿泊用途の住宅が「売却・長期賃貸・自己居住」に戻る可能性はある
今回の規制案では、簡易宿所・住宅宿泊事業について、原則として施設内または近隣建物での管理者常駐を求める方向が示されています。報道・公開資料では、近隣建物を施設から水平距離10m以内とする案や、既存施設にも一定の経過措置後に適用する考え方が示されています。
もしこの方向で条例化されれば、特に一棟貸し・小規模・無人運営を前提としていた施設では、人件費や近隣拠点の確保が収支に影響します。その結果、所有者が「宿泊事業を継続する」「長期賃貸へ戻す」「自宅として使う」「売却する」という選択を迫られ、住宅市場へ戻る物件が増える可能性があります。
なぜ京町家が注目されるのか
京都では、古い町家が宿泊施設へ転用されてきました。宿泊用途から撤退する物件が出れば、中心部や観光地周辺で、これまで一般の住宅購入者には出会いにくかった改修済み町家が売買市場へ出る可能性があります。
一方で、今回の規制案では「重要京町家」など京町家保全への配慮も検討されています。すべての京町家が同じ影響を受けるわけではないため、「京町家だから民泊を続けられない」「必ず売りに出る」と考えるのは早計です。
旧耐震でも、京町家なら住宅ローンを検討できる
京町家は築年が古く、現行の新耐震基準以前に建てられた建物も少なくありません。ただ、旧耐震だから一律に住宅ローンが使えないわけではありません。
京都市は、京町家の購入・改修に利用できる金融機関として京都銀行、京都信用金庫、京都中央信用金庫を案内しています。現在、京都信用金庫には京町家専用住宅ローン「のこそう京町家」があり、京都中央信用金庫の住宅ローンも「京町家カルテ」「京町家プロフィール」等が発行された住宅などを対象に含めています。
| 確認先 | 京町家でのポイント |
|---|---|
| 京都信用金庫 | 「のこそう京町家」。本人居住用の購入・改修資金。京町家カルテ等を原則確認。 |
| 京都中央信用金庫 | 住宅ローンの対象に一定の京町家を明記。京町家カルテ・プロフィール等が判断材料。 |
| 京都市の案内 | 京都銀行を含む複数金融機関の京町家向け資金調達先を紹介。 |
融資の可否は建物だけではなく、申込者の年収・信用状況、土地・接道、再建築可否、担保評価、改修内容などを含めて個別審査されます。
「民泊だった京町家」を買う前に、必ず見る5項目
- 接道・再建築可否:京都の路地物件では最重要。再建築不可でも価値がないとは限らないが、融資・将来売却に影響する。
- 耐震性:旧耐震・伝統構法を「危険/安全」の二択で見ず、耐震診断と改修余地を確認する。
- 用途変更・改修履歴:宿泊施設化した際の工事が住宅利用で問題ないか、図面・検査・消防設備を確認する。
- 京町家としての資料:京町家カルテ、京町家プロフィール、個別指定京町家レポート等の有無を確認する。
- 価格:宿泊施設として投資された内装費が売値に上乗せされていることもある。「民泊撤退=割安」と決めつけない。
買い手にとっては「古い家」ではなく、選択肢が増える局面かもしれない
京都の中心部では、新築住宅を増やせる土地に限りがあります。一方、すでにある京町家や古家が宿泊用途から住宅用途へ戻れば、新築では得られない立地・間取り・京都らしさを持つ住宅が選択肢に入ります。
これから重要なのは、「旧耐震だから無理」「路地だから無理」と最初から切るのではなく、ローンが組めるか、耐震改修できるか、再建築や保全条件はどうかを物件ごとに分解することです。
- 京都市 第3回京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議(2026年11月2日)
- 京都市 住宅宿泊事業(民泊)の独自ルール
- 京都市 京町家の購入・改修に活用できるローン
- 京都信用金庫 京町家専用住宅ローン「のこそう京町家」
- 京都中央信用金庫 住宅ローン
確認日:2026年11月3日。規制案・融資条件は今後変更される可能性があります。